ガバナンス崩壊?! 日本の私立大学

元学長の体験的大学論  大丈夫か?日本の私立大学!

名古屋芸術大学|次期学長のセクハラ問題への対応について

あまりに酷い話になっているようなので、緊急ライブで語ってみました。

 

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緊急ライブの3回目として、「名芸学長選考問題から大学の未来を考える」の番外編をやろうかなと思います。

今日は3月30日なんですが、今日名芸では理事会があるようですが、学長選考問題に端を発した名芸大の混乱、名古屋芸術大学ですね。これは私の見方では、学校法人・非営利組織のガバナンスの混乱だということで、今大事なことは、学園正常化であり、ガバナンスの回復だと。

誰がガバナンス崩壊をもたらしたかというと、理事長、本部長がもたらしたと。現学長を役職停止にして、今裁判でまだ争ってるわけですけれども、とにかく学長選考をめぐって、自分たちの都合のいい人を学長に据えたくて、現学長を学園から追い出したみたいな話になっちゃってるわけですよね。
ここに全ての間違いの始まりがあるんですが、その問題はさておき、次期学長に明日、明後日、4月1日から就任予定の方のセクハラ問題が浮上したんですが、この問題は重大なので、その人物も含めての問題があるんですけれども、学生の訴えがあって、これが発覚したわけです。2月に発覚したのかな。一応、委員会をやったと。

ちょうど私、これちゃんと委員会開いて規程に沿って、学内にセクハラ規程とかハラスメント規程があるはずなので、それに基づいてちゃんと対応してるんでしょうね、なんていうことをつぶやいたりもしてたんですが、それは一応始まったみたいです、みたいな話は知ってたんですけど、それが2日3日前に、共同通信の報道で、ツイッターで知ったんですけれども、共同通信の公式ですよね。

「次期学長セクハラ疑いで調査。名古屋芸大、第三者委員会を設置。」

これが3月28日ですか。昨日一昨日の話ですね。これが共同通信から流れたんですね。

三者委員会を作ってやるってことは本気なのかなと。要するにちゃんとこの問題をけじめつけなきゃいけないのかなということで、名古屋芸大も少しガバナンス回復に向けて動き出したのかなという思いが一つと、いや待てよと、むしろとにかく3月中に決着つけて、なんとかこの問題片付けて次に進みたいと。今の日本の政治で起きているような裏金問題をめぐって起きているような対応なのか、どっちなんだろうと。

要するに真面目に信頼回復に向けてこの問題に真摯に取り組もうとして、第三者委員会を設置したのか、それともとにかく3月中にこの問題片付けて、4月からはもう何もありませんでしたということで、とにかく急いで辻褄だけ合わせる、アリバイだけ作るということでやってるのか、どっちなんだろうなという2つの思いが交錯しながら見てたら、なんといろいろ28日に動きがあったんですね。

新聞記事にもなったこともあって、名芸大のホームページに理事長名で文章が出たんですね。とにかくそういう事実はありませんでしたという話で、とにかく問題ないんだというのが出たんですね。だからいろんな報道はやめてくれということなんですが、....続きを読む。

 

[共同通信/3.28.]
次期学長をセクハラ疑いで調査 名古屋芸大、第三者委を設置

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[名古屋芸術大学HP]
一部報道に関するお知らせ

www.nua.ac.jp
X(Twitter)
名古屋芸術大学 学生有志の会
名古屋芸術大学の将来を考える会

私が発信した一連の見解
名古屋芸術大学|名芸学長選考問題から大学の未来を考える

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名古屋芸術大学|名芸学長選考問題から大学の未来を考える

名古屋芸術大学の学長選考問題に端を発した混乱は、新年度を目前に次期学長のセクハラ問題にまで発展している。

この問題については、すでに3回にわたって「深掘りライブ」で取り上げた。残念ながら、いまだ混乱は収まっておらず、学園正常化には至っていない。

学生のためにも一刻も早く、建学の精神である「至誠奉仕」を貫いたガバナンス回復が期待される。

LISTENおよびnoteで、この3回の深掘りライブの音声と文字起こし記事を配信しています。

LISTEN

2023年10月27日収録

名芸学長選考問題から大学の未来を考える ①(深掘りLIVE #10)《full version》

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2023年11月25日収録

名芸学長選考問題から大学の未来を考える ②(深掘りLIVE #13)《full version》

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2024年3月13日収録

深掘りLIVE #26 名芸学長選考問題から大学の未来を考える③

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noteでは、この3つの音声と文字起こし記事に加えて、さらにおまけ付きのマガジンにしてよりお求めやすく配信しています。

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名芸学長選考問題から大学の未来を考える ①〜③

文字起こし記事3本と音声記事3本をセットで購入できます。

今だけ特典-おまけの付録つき-
「低迷する私学の本当の原因は理事会にある」
「私学は私物ではない:私学の課題と日本の私立大学経営」

 

音大崩壊の真実を解き明かす

崩壊する『音大崩壊』。

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同じ音源です。LISTENで番組をフォローすると音声と文字と記事を視聴することができます。

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上の▶️をクリックすると音声を聴くことができます。リンク先ではすべての記事を読むことができます。

今日は、noteの記事紹介なんですが、書評ですね。書評を書きました。ある本について。『音大崩壊』、2022年に出た、音大ですね、音楽大学崩壊という本についての書評の記事の解説を少ししようかなと思っています。

これはですね、いわゆる音楽大学業界ではかなり有名になった方なんですが、大内孝夫さんという方がいまして、今、名古屋芸術大学の教授になってしまったんですけれども、もともと銀行に勤めてた方なんですけどね。その後、武蔵野音楽大学の就職課ですね、に勤められた後、『音大卒は武器になる』、ご存知ですかね。音大卒は武器になる。音大を出たってことはね、武器になるんだよって。社会を生きていく上で。就職の上でも武器になるんだよって。

この本が出た時は、これ2000何年でしたかね。2015年に出た時には、私ちょうど名古屋音楽大学っていうところで学長をやってたんですけれども、この本はいい本です。私もこういうことを書きたいと思ってたところに、まさに出たので、やっぱり音大生の強みですね。音大生の持ってる強みっていうのは間違いなくあるんですよ。

それをすごくしっかり書いてくれたので、この本は本当にいい本でしたね。こういう本を待っていたというか、誰も書かなきゃ私が書こうと本当に思ってたわけですけれども、大内さんが書いてくれて、まさに我が意を得たりと。

その後これが売れたんですね。その後音大卒シリーズというので、大内さんはたくさん本を書くわけです。音大卒の戦い方。音大卒イコール武器にした元メガバンク支店長が送る大学就職課発、目から鱗の就活術。音大生の就活支援隊長という。
就職部長ですね。音大生の就職を力強くサポートする就職部長ということで脚光浴びたと。それぐらい日本の音大っていうのは就職に力を入れてこなかったっていうね、逆のことで言えばね。そういう実情があったわけです。そこに見事にすっぽりはまったということです。

もう、飛ぶ鳥を落とす勢い、名古屋芸術大学の教授にもなってしまったということなんですね。まさに大内さんのほぼ独占市場として、一つの産業として成立しているという風に、書評というか記事には書かせていただいたんですけど、じゃあその理由は何か。ここから有料記事になっているわけなんですけど。

これ一言で言うと要するに音大っていうのはそういう経営とかビジネスとか就職っていうことっていうのはあんまり考えない、あるいは、考えちゃいけないという常識があったわけです。世間からすれば非常に非常識的なことなんですが。そこにまさに大内さんの本はスポッとはまったわけですよね。

私の言い方では、音楽大学業界にはビジネス書がなかった。まさに音楽大学という業界にビジネス書が出た。これがまさに大内さんのやったことですね。いわゆるニッチ産業が成立したということなんですね。

大内さんのやってきた仕事ってとてもすごく大事なことで、これで勇気づけられた音大生あるいは音大卒業生は本当にたくさんいるんです。だからこれまで音楽大学の常識としてあまり就職に関心がなかったこと自体が実は世間的には大いなる非常識であったということを白日の下に晒すとともに、そこにちゃんと力を入れるべきだということをね、しっかり位置づけたと。この業界でね。そういうことの功績は本当に評価してもしきれないと思うんですよね。よくやってくれたと私も思ってますしとても大事なことだと。

そこで今回出た2022年去年出た『音大崩壊』。これはやっぱりね、売れ筋狙ってタイトルつけたっていうことで、音楽大学崩壊という『音大崩壊』。私最初見たとき、「音、大崩壊」って読んでしまったんです。音大崩壊。音、大崩壊って言うと、のだめカンタービレを思い出すんですが、それはさておきですね。この『音大崩壊』はですねやっぱビジネス書なんです。私からすれば。

いろんなことが書いてあるんですけれども、やっぱり、ちょっと申し訳ないけれども売れ筋狙いで中身は薄い。というのが私の評価ですね。これでは音大は救えないと。音楽教育を救うたった二つのアプローチということも書かれてるんですが。

いろいろこう、スポーツ庁はできたのに音楽庁がなぜないのかとか書いて、切り口は面白いんですが。ただ現実はそんなに甘くないぞと。これでは音大は救えないぞということをいろいろ書いてます。

このあたりはね、ぜひ記事を読んでほしいと思います。とりあえずこの音声ではね、ここまでお話しして、あとは記事でね、ぜひ読んでいただければいいかなと思ってますので、そんなことで書評『音大崩壊』の紹介でした。記事のリンクも貼っておきますので、ぜひそちらの方もね見ていただければと思います。

 

私立大学の運営と経営を考える①

これまでnote音声記事とstand.fmのメンバー限定配信していた音源を、Podcastsでも試聴できるようにしてみました。

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深掘りライブの3回目になります。 日本の私立大学の運営と経営を考えるの①ということで少しお話ししようかなと思っています。

特にこれから少子化が進んでいくので、そんな中で私学の運営とか経営っていうのは難しい時代に入ってきていて、 うまくいってるところはいいんですね。そこはいいんですが、そうでもないところの方が多いんですね。

日本の私学は数からいけばそうじゃないところが多いので。 だから一部の有名私立大学を除くと、やっぱりある程度共通している部分があるので、その辺の話を少し深掘りしていこうかなと。 これは到底1回では済まないので、今回はその1としてね。あくまでも私の体験に基づいてですけどね。 お話をしていこうかなと。

このエピソードは試し聴き、トライアルバージョンです。 フルバージョンはリンク先からお聞きください。

こちらがfull versionです。

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日本の私立大学の運営と経営を考える(その1)

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上の二つは同じ音源です。以下は、その文字起こし記事です。noteで配信したものと同じ内容を、はてなブログにも配信します。

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8月25日の午後9時5分になりました。深掘りライブの日ですね。金曜日9時ということで、今日は第4金曜日ですので深掘りライブの日ですね。 深掘りライブの3回目になります。

テーマを何にしようか悩んだんですけれども、オンラインサロンに私学関係者が多いので、「日本の私立大学の運営と経営を考える(その1)」ということで、お話ししようと思います。

「日本の私立大学」と一括りにできないほど、日本の私立大学というのはいろんな大学がありますし、運営形態も多様ですのであんまり一般化できないんですけれども。それなりにいろんな私学を見てきた。2つの私立大学で、理事会含めて運営に関わってきた立場、名古屋の大学は1つの法人の中に3つ大学があったので、そういう意味では3つの大学を間近で見てきたこともあります。
他にも、いろんなつながりがあるんですよね。 私がいたのは真宗大谷系の大学だったので、その学校連合というのがあって、数は少ないですけれども、そこに集まっている私立大学の運営とかもある程度、垣間見てきたということもあります。
あとは大学評価員という、いわゆる認証評価の評価員ですね。私がやったのは高等教育評価機構の方ですけど、そちらで評価員を4回ぐらいやったかな。うち3回、団長を務めさせてもらって、他の私立大学の内情についても結構深く立ち入った状況をいくつか見てきた。芸術系が多かったんですけどね。いくつか見てきたという経験もある。
あとは、学長、理事長レベルっていろんなレベルでの全国的なつながりもそうですし、私が属してたのは私立大学協会ですけど、いろんな交流の場、あるいは研修の場というのもたくさんあったので、そういうところでいろんな理事長、学長とも話をしてきた。

やっぱりある程度共通する問題があるわけです。

そんなところで感じた日本の私立大学の、特にこれから少子化が進んでいくので、そんな中で私学の運営とか経営っていうのは難しい時代に入ってきてて。 うまくいってるとこはいいんですね。経営の体制、運営の体制もしっかりしてるし、それなりにネームバリューもあるし、実績もあるし、中身もある。ちゃんとした私立大学って言ったら変ですけどね。そこはいいんですが、そうでもないところの方が多いんですね。
日本の私学は数からいえば、そうじゃないところが多いので、だから一部の有名私立大学を除くと、結構共通した問題があるんじゃないかと思うんですよね。

理事会周りの話と、あるいは理事会と教員、職員、学生、保護者、同窓会などとの関係。 あとは私立大学っていうのは、大学だけを持っている法人っていうのはむしろ少なくて、幼稚園を持っていたり、あるいは中学校や高校、高校を持ってるパターンが一番多いんですけどね。中学校も持ってたり、小学校も持ってるところはまだ少ないわけですけどね。

そんな中で、やっぱりある程度共通している部分があるので、その辺の話をね、少し深掘りしていこうかなと思います。 到底1回では済まないので、今回はその1として、ある程度概略というか、どの辺に問題があるのかを、あくまでも私の体験に基づいてお話していこうと。

逆に言えば、私の知らない私学もたくさんありますので、特に大規模な私学、私立大学協会じゃなくて私立大学連盟のほうに属しているような大学は、またちょっと違った実情なんですよね。 私がよく知っているのは小規模の地方の私学ですので、むしろそちらに近い、そちらのほうに関連する話のほうが多いのかなと思います。

前置きが長くなりましたけど、この辺りはこういった音声でもお話していきたい。あんまり文字にしきれない部分もあるのでね、そうしていきたいと思います。 文字の記事もこの間、1つ書かせていただきました。

jimt.hatenablog.jp

大学の運営と経営に責任を持っている理事会は必ずしも多くない

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私学は私物ではない:私学の課題と日本の私立大学経営(緊急ライブ #2)

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上の二つは同じ音源です。以下は、その文字起こし記事です。noteで配信したものと同じ内容を、はてなブログにも配信します。

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緊急ライブの2回目ということで少しお話をしてみたいと思います。

「日本の私学」問題の賑わい

ちょうどTwitter(X)を見ていたら、 いくつか目についたものがあって、一つは近畿大学ですね。

近畿大学の話

近畿大学の教職員組合が、学校法人近畿大学に対して、理事長の辞任を求める 団体交渉要求書を提出したと。これどういう話かというと、 近畿大学の理事長は実は、政治家の世耕弘成さんなんですね。 この世耕さんが実は、安倍派でキックバック問題の該当者ということで、 裏金づくりをした人間は社会的信用、 社会的評価が下がるので、理事長は辞めてほしいというふうに、近畿大学の教職員組合が辞任要求をしたという ニュースが流れてるんですね。

結局、 キックバックの件、 今 強制捜査が入ってるんですけれども、理事長として不誠実な態度をとっていると。理事長としても不適切だということで、大学の評価が下がる行為だということで、辞任してくれというのを近畿大学の教職員組合が出したということで今、 これが目下そういう話になってるということで、これが一つ目についたのと。

上野学園の話

もう一つが上野学園ですね。かつて辻井伸行さんとか、 いいピアニストを輩出した、 横山幸雄さんとか頑張ってたんですが、もう学園が酷すぎて、 理事会が酷すぎて 辞めちゃったという話なんですが。これが2020年にちょうど大学の募集停止というものとも 関連してたと思うんですけれども、高校ですね。 中高がストライキを実施したと。 その時の対応をめぐって労働争議が起きてるわけですね。

これについて組合側が、 ストを行った側が全面勝利を2023年の9月に勝ち取ってるんですが。 都労委ですね、労働委員会ですね。都労委に結局申し立てたわけです。組合側がね。不当労働行為だと、学園側はね。 そういうことでやったんですが、それで結局、 都労委が学園に対して命令書を決定して、 組合側の全面勝利になったという話なんですが。

これに対して学園側が、中労委ですね、 中央労働委員会、中労委に再審を申し立てた。これが9月14日 現在、 学園は都労委の命令を履行せず、 これ自体が労働組合法違反だという話になってて、ここもひどい話になってるわけです。 元々ここはいわゆる上野学園一族支配ということで、その弊害がもろに出る形で、大学を1個潰してしまった私学なわけですよね。

名古屋芸術大学の話

もう一つ目につくのが、名古屋芸術大学の問題です。 これは他でも語ってきたのですけれども、今裁判で係争中なんですが、学長を心身の故障ということで職務停止にして、学内立ち入り禁止にしたという話から始まってですね。 これは次期学長選考をめぐる、実は争いだったということで、次期学長はなかなかすごい人だぞっていうことも、 結構ツイートで流れてくるんですけれども。

結局、理事長、 本部長、 そして理事の対応が問われているわけです。ちゃんと学長選考をルールに従ってやらなかったと。 今裁判になっててしかも裁判所の方はちゃんと理事長と学長と話し合うように、ということなんだけど、これに対して、理事長側はずっと不誠実な対応をとっているという、こんな話があるわけですね。

他にも、日大問題とかあるんですが、 あれはまたちょっと違った問題なので、違った問題というか根っこは一緒なんですけどね。

私学は私物ではない

それで、「私学は私物ではない」というタイトルにしたわけですけど。これどういう意味か。 つまり「私学は誰のものか」っていう話なんですね。理事長のものではないし、 上野学園のオーナーのものでもないし。誰のものなのかって。私立大学 ・私立学校っていうのはね。

私学は誰のものか

私学は誰のものか。これどうやって答えます。 私学は誰のものか。 いろんな答えが返ってくると思うんですが、これを考えるときに一番はっきりしてるのは 結局、資金源です。 誰が資金を出してるのかっていうことですね。私学の資金、 誰が出してるか

日本の私学にオーナーはいるのか

これはアメリカとかの私学なんか行くと結構、大きな財団があってね 。ちゃんとオーナーがいてね 。そこがかなりのお金を出してっていう場合が多いんですが。日本の私学の多くは オーナー大学もありますが、 意外とそうじゃない大学のほうが多いですね。

日本の私学は何で成り立っているか。 これ一度調べてみるといいですよ。オーナーがどれだけ金出してるか。 あるいは理事長がどれだけ金出してるか給料で金は持っていくけれども、 金はほとんど出してないと思いますね、 間違いなく。それこそ設立当初に、 これ設置者っていうんですが、 設置するときにある程度の資産を投げ打ったり提供したりってことはあったかもしれないけども、 それはもう何十年も前の話で、その後はむしろ資金の提供っていうのをやっている 理事や理事長ってほとんどいないと思いますね。日本の私学はね。 これ調べたことないですけども、 非常に少ないと思います。

むしろその私学が、 もしそういったしっかりしたオーナーがいて、資金源があれば、これは別に私学の危機であっても 騒がなくてもいいわけですね。騒いでないところは意外と資金持ってたりするってこともあるんですが。

資金源は3つしかない

それはさておき、 結局、資金源は3つしかないんです。

1つは、オーナーですね。 設置者。設置者イコールオーナーっていうわけでもないんですけれども、1つは、設置者、あるいはオーナー。 これは資金源、 どんだけ出してるか調べてみるといいです。 皆さんの在籍してるところね。

学納金依存の日本の私立大学

一番大きいのは何かって言ったら、これは学納金です。 間違いなく、学納金依存の私立大学が、 日本の場合ほとんどです。学納金依存の私立大学です。

私立大学あるいは私学っていうのは、 学納金だけで経営しなきゃいけないものではないんですよね。もともと私学を設置するときっていうのは、 寄附行為っていう、これが私学の憲法、 企業でいう定款にあたるわけですけど、 寄附行為っていうルールがあってね。この寄附行為に基づいて設置されてるわけですが、寄附行為っていう言葉にもあるように、 寄附で成り立つのが私学なんですね。 基本的に。

私学は寄付行為で成り立っている

普通は設置者が一番大きな寄附をしてね。 それで私学を存続させるわけです。それは金儲けが目的じゃなくてもっと別の、教育というね、いろんな建学の理念があると思いますが、 建学の理念に基づいた教育を行うということで、これは寄附行為なんですね。 金を稼ぐ行為じゃないんです。私学で金儲けようと思ってる方が そもそも大きな間違いであって、金を儲けたいんだったら別のことを考えるべきで、 企業を作るとかね、起業をするとか考えるべきで、私学で儲けようと思ってる理事長や本部長がいたら、 これはもう間違いの始まりですよね。カジノで大儲けしてやろうとか思ってるとしたら、 これはもう大問題だということなんですが。

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ダメな私学の本当の原因は理事会にある

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上記noteで配信したものと同じ内容を、はてなブログにも配信します。

 

私立大学の担い手には、理事、教員、職員、学生がいる。

ダメな大学ほど、「うちは学生がダメだから」となげく理事と教職員が多い。これは昔ながらの悪しき慣習のようだ。

理事会がダメ、教員がダメ、職員がダメ、学生がダメ。全部ダメではもちろん救いようがない。

だが、本当にダメなのは誰なのか。


この記事は6月26日に「下書き」を書き始めた。
だが、なかなかうまくまとまらないので、公開をためらっていた。そんな折、次の二つのニュースに接した。これらの記事を読んで、さらに私の確信が強くなった。そして、ようやく公開する形にまとめることができた。

2023.8.17.記
京大前総長・山極壽一氏、「サンモニ」で日大アメフト部の薬物事件で提言…「林真理子さん自覚して欲しい」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース  TBS系「サンデーモーニング」(日曜・午前8時)は13日、日本大学の林真理子理事長と酒井健夫学長、澤田康広副学長が8日、 news.yahoo.co.jp

コメンテーターで京大の前総長で総合地球環境学研究所所長の山極壽一氏は今回の問題に「大学経営っていうのは、教員学生との間の信頼関係と緊張関係のバランスを取ることが重要なんだよね」とし「とりわけ教員との間には絶大なる信頼関係を作っておかないと今のような情報が入ってこないっていうことになってしまうわけです。そこがうまくいってないんじゃないかなっていう気がします」と指摘した。

京大前総長・山極壽一氏、「サンモニ」で日大アメフト部の薬物事件で提言…「林真理子さん自覚して欲しい」Yahoo!ニュース
「遠慮があった」林真理子理事長が進めた“日大改革” 専門家「林理事長の権限がまだ50%もないという印象」【日大・大麻所持問題】(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース 日本大学のアメリカンフットボール部員が、違法薬物を所持したとして逮捕された事件で、8月8日に会見した林真理子理事長。 日 news.yahoo.co.jp

日本大学 林真理子理事長:
本当に、本当に、私はもっと大きなところを見ていたつもりだったんですけれども、7万人の学生一人一人をもっときちんと見なきゃいけないということを今つくづく感じております。

「遠慮があった」林真理子理事長が進めた“日大改革” 専門家「林理事長の権限がまだ50%もないという印象」【日大・大麻所持問題】Yahoo!ニュース

ダメな私学の本当の原因は理事会にある

ダメな大学ほど、ダメな理由を学生のせいにする。
教職員はみずからの責任を学生に転嫁する。
理事は、みずからの責任を現場の教職員に転嫁するだけではない。うちの学生がこんなことをやっていた、こんな噂を聞いた、現場の指導はどうなっているのか、などと偉そうにのたまう理事がいたりする。

これは、もっともダメな大学の例である。

私がつとめていた大学がそうだったという話ではない。念のため。

私の私学体験はちょうど四半世紀に及ぶ。1996年から2017年までを私立の音楽大学で、2017年から2021年まで私立の芸術系大学で過ごした。この25年のうち10年間は、学長として深く私学経営にも関わった。

私の私学体験に基づいて、あえて独断的な主張を展開してみたいと思う。
大学にいまだ現役で在籍している人は、なかなか本音を思い切って言えないだろう。だから、フリーな立場でフリーに書いていきたい。

さて、ダメな私学とはいかなる大学なのか。ダメな大学はなにがダメなのか。

この記事に書く内容が、おおくの私学関係者にとって心当たりがないことを心から切に願うばかりである。

日大の理事長の背任事件は、氷山の一角である。

日大事件 前理事長裁判~国内最大規模の学校法人で何が|NHK 【NHK事件記者取材note】日本大学を揺るがした一連の事件。2月15日、13年間にわたって学校法人のトップを務めた田中英 www3.nhk.or.jp
日本大学の理事長田中英壽氏らの起訴に関する不正事案についての第三者委員会調査報告書の概要 | LegalSearch (リーガルサーチ) 在籍する学生数や保有する資産の額などで最大級の規模を誇る日本大学で度重なる不祥事が確認されました。 legalsearch.jp  

もちろん、すべての大学の理事会と理事長がこうであるわけではない。だが、理事長や理事などによる背任はあとを絶たない。

背任とは、文字通り、任に背くことをいう。

私学の世界には、犯罪に至らないまでも、任に背く理事はじつは山のようにいるのではないだろうか。

こうした事態を受けて、2025年4月には改正私立学校法が施行される。

学校法人役員らに対する刑事罰新設などを盛り込んだ改正私立学校法が26日、参議院本会議で可決、成立した。日本大幹部の背任事件などを受け、理事会や評議員会の権限を見直し、チェック機能を強化する。施行は2025年4月。
新設されるのは、役員らによる特別背任や贈収賄、目的外の投機取引、不正な手段による認可取得に対する罰則で、特別背任では7年以下の拘禁刑か500万円以下の罰金、または両方が科される。

時事ドットコム
改正私学法が成立 刑事罰新設などガバナンス強化:時事ドットコム 私立大のガバナンス強化に向け、学校法人役員らに対する刑事罰新設などを盛り込んだ改正私立学校法が26日、参議院本会議で可決、 www.jiji.com

問われているのは、私学のガバナンスだ。

だが、ここには「罰則の強化」だけでは解決しない根深い問題がある。

大学設置基準すら読んだことのない大学理事もいる

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